大判例

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東京高等裁判所 昭和29年(う)220号 判決

被告人 神津義雄

〔抄 録〕

弁護人の論旨第一点について。

刑事訴訟法第三百三十五条第一項にいわゆる法令の適用を示すとは、判示事実に対し如何なる法令を適用したか、又判決主文が如何なる法令に基いて導き出されたかを了知し得る程度に摘示すれば足るものと解すべきところ、原判決は法令の適用として所論の如く刑法第二百三十五条第四十五条前段後段第五十条第四十七条本文第十条第二十一条を挙示しており、これを原判示各事実並に原判決主文と対照するときは叙上の関係を了知するに難くない。即ち被告人の原判示各所為は、それぞれ刑法第二百三十五条に該当し、右所為中原判示第一乃至第三の分は原判示各確定裁判との関係において同法第四十五条後段の併合罪であると共に、原判示第一乃至第四列記の各個の所為の間には、それぞれ同法第四十五条前段の併合罪の関係があるから前者につき同法第五十条を、後者につき同法第四十七条本文第十条を適用して被告人を主文の刑に量定処断し、未決勾留日数の算入につき同法第二十一条を適用した趣旨であることを推知し得るのである。而して本件のように罰条を同じうする多数の犯罪にあつては、その何れの罪が最も重いかを明示しないで併合罪の加重をしても必ずしも違法とはいえない。又、原判決は主文において未決勾留日数中判示第一の罪の刑に満つる分を該本刑に算入する旨判示しており、右刑を執行する時期によつては所論のように通算日数に若干の相異を生ずることはあり得ようか、かくの如きは刑の執行に際して自ら解決せらるべき事項に属し、これを以て原判決に理由不備等の違法があるとはいえない。なお、原判決は主文において「被告人を判示第一の各罪につき懲役四月、判示第二の各罪につき……」と判示しており、該文言のみよりすれば所論のような疑義を生ずる余地なしとしないが、これを原判決の理由と照合すれば、右は「判示第一の事実につき懲役四月に、判示第二の事実につき……」の趣旨であることを容易に領解し得るのである。されば原判決には所論のような理由不備、理由齟齬も存しないし、法令の適用の誤もない。論旨はすべて理由がない。

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